好きなのか。一人になりたくないだけなのか。 【episode8】
忘れる必要、忘れる努力。
NTTやネットのプロバイダ契約は、彼の名義。
もちろん今も、これまでも、生活にかかる支払は、私が管理、というか、
把握してたのが私だから必然的に私がいつも払ってたんだけど、
住まいを別にした今、郵便物の転送手続きをしたため彼のもとに請求書が行ってしまう。
その度にポストに入れてもらってる。
その度に、彼から一言メールが来ている。
「入れといたからね。」
たったひとこと。だけど、やっと来たメール。
「もう連絡はとりたくない」
別れる頃、私が彼に送った言葉。
別れてもあからさまに引きずっていたのは最初から私の方。
どうしたいのか、何を期待しているのか。
心は不安定で、そこに決めた決心は情けないほどゆるい。
会いたい。
話がしたい。
せめて、メールがしたい。
別れて1ヶ月は、苦しくて苦しくて、日々言うことが変わる私。必死だった。
この苦しさから抜けたくて、忘れたくて、でも、連絡が取りたくて、会いたくて。
すれ違う、彼と私の決心の違いは、ただ私をイラつかせる。
言葉にはトゲがあり、彼に植えつけるものはただ、不快な思い。
「とりあえず3ヶ月がんばるって、約束したやん。」
彼がどうしたいのか、ハッキリ言って分からない。
「別居で付き合うってわけにはいかないの?」
食い下がろうとする私。
仕事に集中したいから、今、俺とは付き合わない方がいい。
この言葉は、その「ビジネスとしての関係」に嫉妬する私を見てられなかったのかもしれない。
勝手に嫉妬をして、携帯を盗み見るようなことをして、責め立てるような言葉をかける私。
彼にとって家は安らぎとは遠い存在になっていた。
ひとり暮らしで自由になって、より『自由な疑似恋愛』ができる彼が妬ましかった。
私はペットの世話もあるから夜は自由になれない。休みだって、泊まりはできない。
寂しさと、ほこ先のわからない嫉妬。
彼と戻ることが決して幸せへの近道でないことは、よくよくわかってる。
それなのに、会いたくなる。
会えないことで、イライラする。傷つけようとしたり。
やっと最近、連絡がこないことが普通になりつつある。
携帯がならない日もあるし、電話だってほとんどかかってこない、かける事もない。
彼がどんな生活を送っていて、病気になってないか、仕事はうまく行ってるか、なんて、
気にし出したら連絡を取りたくなってしまうから、私からは連絡を取らない。
彼はきっと、こうやって徐々に私が離れていくことを望んでいるのかもしれない。きっとそう。
そう自分に言い聞かせて、アドレスを変えて。
でも結局、ソフトバンクを使っているから、電話番号でメールが送れてしまう。
最後に連絡をとった夜から、もう3週間。
あぁ、やっと、連絡がないことに寂しさや、彼の顔を忘れていく事がよし、そう思っていた。
そんな時、たまに来るメール。
「請求書、ポストに入れといたからね。」
「ありがとう」
ひとことふたこと、絵文字なんかほとんど使わない。
業務的な、そんなそっけのない返信を意識的にする私。
もちろんそれで彼の気持が戻るわけでもない。そんなのわかってる。
どうしたらいいのかわからない。
そもそも、別れたいと思った時の事を思うと、忘れた方がいいと、客観的にはわかってる。
休みはカレンダー通り、昼夜正常で、旅行や遊びに行くときは人ごみの中。
たまに贅沢したりなんかする、普通な生活。それがほしいって今でも思ってる。
でも、彼という、人間は、他にはいない。
「まゆげはえてきてるで(笑)」とか、「おなかに肉ついたんちゃう?(笑)」とか、
そんな所を平気で言ったり言われたりしちゃえる関係を、彼以外とまた築くことができるのか。
そんなことを考えてしまうと、また古い思い出がたくさん溢れて、水になって流れる。
抜け出せない。
誰かに正解を出してもらいたいわけじゃないから、
「別れて正解だよ」って慰めて言ってくれてるんだろうけど、心に響かない。
なんとなく「それは違う」って思ってしまう。納得いかないんだもの。
自分で解決するしかないんだけど、気持ちがそれを繰り返す。
もう、約束の3か月がたつよ、この年の瀬を超えたら。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。つづく。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
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