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好きなのか。一人になりたくないだけなのか。 【episode6】

彼の仕事の事。

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ステンドグラス工房のスタッフ、測量、ネットワークビジネス、体育会系の営業、

SMバーの受付、バーテン、ハプニングバー店員、IT系の営業、小売卸業、

インターネット販売、そして、ハプニングバー経営。

 

基本的に職業に偏見ない。業種にも偏見はもちろんない。

みんな尊重し合って、組織ができあがって、システムができて、

利益が生まれて、収入が発生して、自分の生活に戻る。

この流れって、どんな仕事をしている人にも当てはまる。

 

ニートやネットカフェ難民だって、彼らのうちの多くは何か仕事をしてる。彼らの意識はそれぞれだろうけど、

ホストやホステスだって、トイレの清掃員だって、医者だって、弁護士だって、

都知事だって、総理大臣だって、日々の生活のために働いて、おうちに帰って、

自分のにおいのついた布団で寝たい。どんな職業、どんな職種の人だっておんなじ。

 

今まで、年齢的経験値だけの理由なのかもしれないけれど、

こんなにいろんな仕事をしてきた人に会ったことがなかった。

バイトで何十もの店に行ったことがあるとは少し違う。どちらかというと、不器用にどれも一応やろうとしていた。

私自身、『やりたいこと』を聞かれても、いまいち何も思い浮かばない。

いつまでそんな就職活動の心配もしてない学生みたいな状態でいるんだって、怒られそうだけど、

私の特徴をあえて言うなら、「たいてい何でもこなせて何となくうまくいく」ってところ。

対して彼は、「たいていどこかにほころびが生まれてうまくいかない」ってところ。

彼はいつも、やろうとしていることを強く決心し、実行する。

やりたい事も実行力もない私からしたら、うらやましい感じもあるけれど、なんだか危なっかしい。

 

でも、私にはない実行力を、支えてあげよう。

「うまくいく」容量と、「まっすぐただ進む」実行力。

二人なら、お互い無いところを持ち寄って、いい形になるのかもしれない。

そう信じて、時にはくじけそうになって、でもまた少し乗り越えて、いくつも仕事を切り替えながら。

 

彼のいう「昼間の生活」、それは、普通の、ほんとに普通の生活。

私も、普通に、夜は一緒にご飯を食べて、テレビを見て、休みの日は一緒にどこか出かけて、

それでよかった。

彼がハプニングバー経営の知識を分けてほしいと、友達に言われるまでは、

地味に遠回りしながらでも、普通に。普通に普通に。

だんだん「フツウ」がなんだかわからなくなってきたのはこの頃から。

遠回りじゃなくて、道を違えてしまったんではないか。そう思うようになった。

 

彼は相変わらず、「今はこれを形にしたい」「やつのは今しかないんだ」って、突っ走る。

そのうち、私の意見は聞かくなっていった。仕事柄、どうしても普通の生活は送れない。

朝と昼はまた逆転。私が寝ている間に帰ってきて、私が出て行くときはまだ寝てる。

顔を合わすことも、会話も減り、お酒が飲めない彼が、お客さんと一緒に御飯に行ったり、

キャバクラが嫌いな彼が、お客さんとの付き合いで行く事もあるし、

休みの日だってお客さん、お客さん、お客さん。

 

ここで嫉妬したり羨んだりするのは、『デキナイオンナ』なのかな。

私とは一緒にどこも行かないのに、ご飯だって一緒に食べないのに、いろんな事いっぱい我慢してるのに、

なんでお客さんとはみんなでイベントでペンション行ったり、

なんでお客さんとはアフターでご飯行ったり、

なんでお客さんとはカラオケにも、ボーリングにも、お風呂屋さんに行ったりするの?

そう思っちゃ、いけないのかな。我慢するのが一般的?

次第に不満をぶつけるようになった。時には泣いたりした。

ずるいのはわかってる。私のワガママとは言い切れないのは彼もわかってたんだろうけど。

 

彼は、女の子のお客さんを呼ぶために、自分に好意を抱いている女の子と会うようになった。

ホストみたい。体の関係は、「持ったら終わり」。そうゆうルールらしい。

ハッキリ言って、私にはよくわからない。ルールなんて、金魚すくいの薄い紙のアミよりもろい。

そう思ってしまう。

彼は、私に、その『ビジネスの関係』を隠していた。

彼なりの、【思いやり】らしい。嫉妬させないための。

そんなの、ばれるのは時間の問題。朝までカラオケ行ってたとか、

車で最寄り駅まで送るから彼はお酒飲まないのはわかってるけど、

そんなの、相手の女の子がいつまでも「ビジネス」だなんて割り切ってくれるわけない。

いつしか、私は彼を疑い、彼は疑われないように私から距離を置くようになった。

 

「私があんなに支えてきたのに」思っちゃいけないひねくれた考えが私の頭を支配する。

「私だけなんでいつもこんなに苦しくて悲しい思いをしないといけないの?」

もうダメなのかな。私も彼も、もう、ずいぶん遠いところに来てしまったような気がした。

 

 

普通って、なんて遠いの。なんて難しいの。

 

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。つづく。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
 

 

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