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好きなのか。一人になりたくないだけなのか。 【episode5】

溝。

 

「浮気」。今まで私が思い込みも含めて、彼が誰かと会うたびに感じた嫉妬。

浮気の定義って誰が決めてるわけでもないし、浮気「する側」と「される側」、

どんなにいつも一緒にいても、同じじゃないのかもしれない。

微妙なそのはざまで何度となく悩んで、何度となく泣いて、何度となく憤りを感じた。

 

私が、浮気をした。

 

それは、誰から見ても完全な「浮気」に入るもの。

恋愛感情を抱くことは私の中であり得ない存在の相手。

あんなに簡単に気持ちがうわつくなんて、今でも後悔でしかない。

でも、「あなたとは恋愛にはならないからねー」って思いながら、言葉にも発しながら、私は抱かれた。

たった一度、だけど一度。それが浮気であることは私の中でも否定できない。

私はそれを、半年以上隠した。

 

その相手は、職場の同僚。

たまにご飯を食べたりはした。お互い、普通に友達として。

仕事の愚痴とか、その人が言ったコンパの話とか、会社の人の噂とか。

性別とか関係なく、近くに同世代の友達がいなかった私にとっては、大学の時の誰かと同じような感覚の男。

お前なんで彼女できないの?とか、この前持ち帰った女の子とエッチできなかったとか、

男同士の友達みたいな、女同士の友達みたいな、ほんとにそんな感じの相手。

そのたった一度の後も、たまに帰りが一緒になったらご飯食べに行ったり、

ipod買換えに駅前のSofmapに付き合ってもらったりしてたけど、ただそれだけだった。

 

ある時、社用車だったけど、その同僚にうちの近くまで送ってもらった。一番近いレストランでご飯を食べた。

そこはすごくおしゃれなイタリアンレストランで、彼とも、家族ともよくいくレストラン。

私と同僚は、二人揃って『レディースセット』を頼んだ。

男の人でもたっぷり食べられる量だったと思う。最後のデザートがとってもかわいらしかった。

チョコレートで花の絵が描かれてて、ジェラートには飴で作った細いくるくるした飾りがされてたり。

その時は、私が彼と少しケンカしていた。

数日前に泣きながら彼をまた責め立てたりしていた。

愚痴を聞いてくれる「友達」として、たまたま帰りのタイミングが合った同僚を選んだのかもしれない。

彼と別れたい。彼といても幸せになんかなれない。

また裏切られた。憤りや、嫉妬、憎しみや、自分への情けなさ、いろんな気持がうずめいていた。

冷静じゃなかったのかもしれない。

 

その日から楽天ブログを始めた。

彼が新くバーの仕事をはじめて、宣伝方法をインターネットに絞っていたのは充分知っていた。

作ったことのないホームページも、いろいろ調べて見よう見まねで作ったのは私。

検索で上位に出るような方法を調べたり、ソースを調べたり、メールアドレスを作ったり設定したのも私。

そして、ヤフーブログや楽天ブログを使って宣伝しようと言ったのも私だった。

 

私はブログに、浮気したことを書いた。

何度か関係を持った、とも書いた。回数なんて関係ないけど、1回じゃなく、数回と書いた。

結果的に、彼は、楽天ブログの新着記事から、私のブログを見つけ、

ブログを読んだ。驚くほど早く、見つかった。

 

たぶん、私のそのブログを続けるつもりはなかった。

しばらくして冷静になって、きっと削除するつもりだったんだと思う。

。。。今となっては言い訳にすらならないけど、幾重にも後悔を重ねた。

自業自得。よく使う言葉だけど、彼にブログを見つけられてしまって、自分のしたことに手が震えた。

初めてこの言葉を頭に浮かべると、思わず何かから目をそらしたくなった。

 

ちゃんと謝れなかった。

バー経営となった彼とは、一緒に住んでても、時間が合わなかったのもあって、

メ-ルでのやり取りが多かった。

私は、言いたいことがあふれてしまうタイプで、メールが長い。

謝る気持ちを長く長く書いてしまう。

それに対して彼の短い返答。

不安でたまらなくて、言い訳や、後悔の気持ちを何度も何度も送った。

夜中帰ってきた彼を待って、話そうとした。涙が溢れて止まらなくて、ちゃんと隠さず全部話そうと思った。

「疲れてるから今日は無理。」そう振り切る彼。

 

あぁ、これが夢ならいいのに。

夢でないなら、全部全部、私の記憶も何もかも、消えてしまえばいいのに。

 

何度もそう思った。

ごめんなさい。。何度も言ううちに、許してくれない彼に、過去を取り出してたてつくようになった。

「あなただって。。。。」

言ってはいけない言葉。わかっていたはずなのに、発してしまった。

私の価値観での「浮気」に対して、自分でも認めてしまうほどの完全な「浮気」。

通用するわけがない。

でも、もう止まらなかった。なんで許してくれないの?私だってあんなにつらかったんだって。

 

溝。

 

彼との溝は、浅くなることはなかった。

 

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。つづく。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

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